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EOS R3・R5

 3年ほど前に、EOS Rを購入し、一眼レフからミラーレスへ転向したことは、この「余談」のページで書いたとおりだ。続いて2020年にはEOS R5が発売され、画素数4,500万、EOS初のボディ内手ブレ補正搭載、8K動画撮影など、にぎにぎしい謳い文句に踊らされてというのは言い訳だが、つい手を出してしまった。EOS Rで不評だったマルチファンクションバーは消えて、他のEOSシリーズと同様の操作系となり、粗削りと感じた部分は払しょくされている。
 冷静に考えれば、私自身にとってはレフ機からEOS Rに転向したとき以上に、R5へ乗り換える必要性はないと言っていい。撮り鉄では、列車が被写体ブレしないよう基本的に速いシャッタースピードで撮るため、自ずと手ブレは起きにくく、ボディ内手ブレ補正がなくてもなんとかなる。さらに動画は撮らないので8K動画も不要だ。そもそも8K対応のモニターなど持っていないし。なおかつ、R5が発売された2020年はコロナ禍で撮り鉄もままならず、せっかく購入しても箪笥の肥やし状態で、それなら初代Rをもう少し引っ張ってもよかったかも知れない。
 それでもR5で撮影すると、さらに画質がよくなったような気がする(大枚はたいただけにそう思いたい)。機能もこれ以上望むものはないくらいで、R5が最後のカメラになるかなと漠然と思うのであった。

 そこへまた昨年(2021年)秋、唐突に現れたのがEOS R3だ。キヤノンは若いナンバーのほうが上位機種になるので、スペックがR5より上なのは当然なのだが、「視線入力」というキャッチフレーズをまさに視線が捉えて衝撃を受ける。確かに視線入力搭載を望んでいたが夢物語で実現性はないと思っていただけに、まさか本気で開発を進めていたとは。おかげでR5を終のカメラと言った舌の根も乾かないうちにR3にぐらつく。 
 でも1000以上もある測距点を視線入力で選べるのだろうか。疑問に思ってキヤノンのWEBページで確認すると、2台のオートバイの走行シーンで、どちらのオートバイにピントを合わせるか視線入力で選ぶ例があり、なるほどと合点する。今は瞳AFで人にピントを合わせるのはカメラ任せでいい。ただ、画面に複数の人物がいる場合は基本的に手前の人物にピントを合わせてしまうので、別の人物にしたい場合に視線で追えば切り替わるわけだ。マラソンの集団、サッカーやラグビーなど入り乱れる選手の中から特定の選手を選びたいときに重宝しそうだ。フィルムカメラ時代のイメージで、視線入力はピント合わせと思い込んでいたが、R3の場合は被写体選びと言ったほうがふさわしい。
 そうなるとスポーツカメラマンには便利だろうが、撮り鉄にとってはどうか。列車を自動追尾で撮っていると、たまにフォーカスポイントがあさっての方向へ行ってしまい、「おーい、戻ってこい」というときには使えるかも知れないが、待望の視線入力ではあるものの、もう少し冷静に見定める必要がありそうだ。
 何よりR3の高スペックについていけなくなっている。1/64000秒のシャッタースピードなど自分が使うシーンをイメージできないし、EOS初の裏面照射CMOSセンサーと言われても、実は裏面照射自体がよくわかっていなかったりする。
 これはどう考えても使いこなせない。箪笥の肥やしどころか宝の持ち腐れになりそうだ。ということで、さすがにR3は見送ることにした。もっとも、R3の現時点の価格はボディだけでも70万円以上と、そもそもおいそれとは手を出せないのである。

 デジタル一眼のミラーレス化はパナソニックやソニーが早かったが、昨年末にはキヤノンの御手洗社長が一眼レフのフラッグシップの開発・生産をやめてミラーレスに一本化するという発言もあり、ニコンなどの老舗メーカーとともにこぞってミラーレス化を進めている。ではその先に何があるのだろう、撮影分野ではスマホに押され気味のカメラ業界がどう巻き返すのか、期待をもって見守りたい。近未来的には、視線入力どころか頭でイメージした画像をカメラが撮影する脳波入力ができたりして。
 
 余談の余談だが、以前、立木プロがEOS Rについて、「少年のようだ」と評してまだ未成熟と言っていたことに触れたが、先日、R5についてコメントした別の動画を見つけた。さて、どう表現するのかと思ったら、「精一杯背伸びしている」と言っていたように思う。相変わらず手厳しい。
 ただ、立木プロの発言内容を確かるためにもう一度動画を見ようと思ったら、いくら検索しても出てこない。動画はどこへ行ってしまったのだろうか。



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